「右足に体重を乗せて、トップから左に移す」
ゴルフレッスンで何度も聞いたことがあるだろう。そして、多くのゴルファーがこの指導を信じている。
しかし、これは 間違っている。
実際にプロゴルファーの体重移動を測定すると、全く違う事実が見えてくる。
トップで右足に90%の体重?
いや、その時点で体重移動は すでに終わっている。
アドレス:左右対称という幻想
まず、最初の間違いから正そう。
「アドレスは左右均等、5対5で構える」
これが一般的な常識だ。しかし、プロのデータを見ると、アドレスの時点ですでに 左足に多く荷重 している。
左6:右4、あるいは左55:右45程度。
なぜか?
理由は、正しくクラブをテイクアウェイするため だ。
左足に荷重することで、いわゆる「体でクラブを上げる」感覚が生まれる。手だけでクラブを上げるのではなく、体全体を使ったテークバックが可能になる。
これが、正しい運動連鎖の第一歩だ。
テークバック途中:右足90%の瞬間
テークバックを開始すると、体重は右足に移動する。
そして、テークバックの途中、トップに到達する前に、右足への荷重は最大に達する。
その数値は 90%近く。
「右足にしっかり乗せる」というアドバイスは、ここでは正しい。しかし、重要なのはこの次だ。
トップ:衝撃の事実、体重移動はすでに始まっている
ここが、最も重要なポイントだ。
トップポジションに到達した時点で、体重はすでに左足に移り始めている。
つまり、右足90%という最大荷重は、トップより前、テークバックの途中で終わっているのだ。
多くのゴルファーは「トップで右足にしっかり体重を乗せて、そこから切り返しで左に移す」と思っている。
しかし、それでは遅い。
プロのデータを見れば明らかだが、トップに到達した瞬間には、すでに体重は左へと移動を開始している。右足の荷重はすでに 75%程度 まで減少しているのだ。
これが、前回の記事で解説した 「トップで止めるな」 という原則とも繋がる。
トップで「間」を作ると、体重移動が遅れる。正しい運動連鎖が崩れる。
体重移動は、トップより前に始まっているべきなのだ。
フランチェスコ・モリナーリの大変身
この体重移動の重要性を、劇的に証明した選手がいる。
フランチェスコ・モリナーリ だ。
以前の彼は、トップで 90%近く も右足に荷重が残っていた。つまり、トップでまだ体重移動が完了していなかったのだ。
その結果、すべての地面反力のタイミングが遅れていた。飛距離も伸び悩んでいた。
しかし、彼はこれを改善した。
トップでの右足荷重を 75%まで減少 させた。つまり、テークバック途中で右に乗せ、トップではすでに左への移動を始めるようにしたのだ。
結果はどうなったか?
キャリーが300ヤードを超えた。
体重移動のタイミングを早めるだけで、地面反力の使い方が最適化され、飛距離が劇的に伸びたのだ。
私自身の変化:70%→90%、そしてトップで75%へ
実は、私自身もこの体重移動を改善した一人だ。
以前の私は、テークバック中の右足荷重が 70%程度 しかなかった。そして、トップでもまだ70%前後と、ほとんど変化がなかった。
つまり、右足にしっかり乗せていなかったし、トップでの体重移動も始まっていなかった。
そこで、以下の2点を改善した。
- テークバック中の右足荷重を70%→90%に増やす
- トップでは75%程度に減少(左への移動を開始)
この変化により、飛距離が大幅に伸びた。
ヘッドスピードを上げたわけではない。筋トレをしたわけでもない。ただ、体重移動のタイミング を変えただけだ。
そして、地面反力のタイミングがすべて最適化された。
インパクト:右足100%という衝撃
ダウンスイングが始まると、体重は急速に左足に移動する。
そして、インパクトに向けて左足を強く踏み込む。
ここで、最も驚くべき現象が起きる。
インパクトの瞬間、飛ばす選手の多くは右足に100%近く荷重がかかっている。
「インパクトは左足100%」という常識とは、真逆だ。
なぜこんなことが起きるのか?
理由は2つある。
①左足をそれだけ強く踏み込んでいる
左足を極限まで強く踏み込むことで、地面からの反力が体を上方向に押し上げる。
その反力が、右足にも伝わる。それほど強い力で地面を踏んでいるのだ。
②クラブのエネルギーに拮抗するため
インパクトの瞬間、クラブヘッドは猛烈なスピードでボールを叩く。その反動、クラブが生み出すエネルギーに対抗するために、右足でも地面を踏んで体を支える必要がある。
つまり、インパクトでは 両足で地面を全力で押している 状態なのだ。
これが、最大のパワーを生み出す秘訣だ。
フィニッシュ:左足荷重で完結
フォロースルーからフィニッシュにかけて、体重は完全に左足に移動する。
フィニッシュでは、ほぼ100%左足荷重。
これは誰もが知っている常識だが、そこに至るまでの過程が、実は誰も知らない真実なのだ。
体重移動のタイムライン:真実の流れ
整理しよう。ドライバーにおける体重移動の真実は、こうだ。
- アドレス: 左6:右4(正しいテークバックのため)
- テークバック途中: 右足に最大荷重(90%近く)← ここが最大
- トップ: すでに左足への移動開始(右75%程度)
- ダウンスイング: 急速に左足へ
- インパクト: 右足に100%近く(飛ばす選手は)
- フィニッシュ: 左足100%
「トップで右足に体重を乗せる」という指導は、正確ではない。
正しくは、「テークバック途中で右足に最大荷重、トップではすでに左へ移動開始」 だ。
なぜこの体重移動が重要なのか?正しい運動連鎖のため
この体重移動のタイミングが、なぜ重要なのか?
答えは、正しい運動連鎖を実現するため だ。
野球でボールを投げるとき、やり投げで槍を投げるとき、あらゆるスポーツで、力は 下半身から上半身へ と伝わっていく。
体重移動が先に始まり、それに続いて上半身が動き、最後にクラブが加速する。
この順序が崩れると、エネルギー効率が悪くなり、飛距離は出ない。
ゴルフも同じだ。
トップで体重移動が完了していなければ、下半身と上半身が同時に動いてしまう。運動連鎖が崩れる。
だから、トップより前に体重移動を始める必要がある。
モリナーリのケースがまさにそうだった。トップでの荷重を90%→75%に変えることで、すべての地面反力のタイミングが改善 された。
これは、ゴルフだけの特別なテクニックではない。人間の体が持つ、最も効率的な力の使い方 なのだ。
Sportsbox「Pelvis Sway」で体重移動を可視化する
「自分の体重移動がどうなっているか分からない」
そう思うかもしれない。
Sportsboxの 「Pelvis Sway(ペルビススウェイ)」 データを使えば、骨盤の左右への移動を測定できる。
これにより、いつ、どのタイミングで体重移動が起きているか が一目瞭然だ。
- トップで右に残りすぎていないか(90%は遅い、75%が理想)
- テークバック中に十分右に乗っているか(90%近く)
- ダウンスイングでの移動速度は適切か
- インパクトでの位置は正しいか
感覚ではなく、数値で確認 することが、改善の第一歩だ。
まとめ:体重移動の新常識
- アドレスは左右均等ではなく、左足荷重(正しいテークバックのため)
- テークバック途中で右足に 最大90%荷重
- トップではすでに 右75%程度(左への移動が始まっている)
- インパクトでは 右足に100%近く(飛ばす選手は)
- フィニッシュで左足100%
モリナーリは、トップでの荷重を90%→75%に変えて キャリー300ヤード超え を達成した。
私自身も、テークバック中を70%→90%、トップを75%にすることで 飛距離が向上 した。
「右足に乗せて、左に移す」という単純化された指導では、真実は見えない。
体重移動は、もっと早く、もっと複雑で、もっと効率的だ。
そして、それは 正しい運動連鎖 を実現するためにある。
ぶっ飛び力学では、SportsboxのPelvis Swayデータを活用して、あなたの体重移動を数値化し、最適な運動連鎖を実現する方法を指導します。
感覚ではなく、データで見る。それが飛距離への最短ルートだ。