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宇宙では、何もしなくても骨が減る

宇宙では、何もしなくても骨が減る

こんにちは、中上級者向け飛距離アップ専門コーチ
ぶっ飛び力学研究所の山崎壱鉱です。

宇宙飛行士が宇宙に行くと、体に何が起きるか。

負荷が消えると、骨は溶ける

骨が減ります。

無重力の環境では、骨にかかる負荷がほぼゼロになります。すると体は、骨の量を維持する理由を失い、1か月でおよそ1〜2%のペースで骨密度を落としていきます。特に、地上で体重を支えていた脚や腰の骨から減っていく。

怪我をしたわけでも、病気になったわけでもありません。何もしていないのに、減っていく。

骨は、かかった負荷に応じて作られる組織だからです。負荷が消えれば、その骨を維持しておく必要がなくなる。体は合理的に、いらないものを手放します。

だから国際宇宙ステーションでは、クルーに1日およそ2時間の運動が義務づけられています。トレーニングマシンで、わざわざ負荷を作り出す。そうしないと、地球に帰ってきたとき立てなくなるからです。

覚えておいてほしいのは、この一点です。

楽な環境は、現状維持ですらない。

あなたの練習場は、無重力です

ここからが本題です。

いつもの練習場を思い浮かべてください。

平らなマット。同じ打席。同じ番手を何十球も。風があっても、だいたいフォロー。ギャラリーはいない。前の組もいない。曲げても池はない。失敗しても、次の球がある。

これは、負荷がほぼゼロの環境です。

そして、そこで100球打った翌週にコースへ出て、打てない。多くの人がこう言います。

「自分はメンタルが弱い」

それは、メンタルの問題ではない

ショーン・フォーリー(Sean Foley)というコーチがいます。PGAツアーにいち早くトラックマンを持ち込み、タイガー・ウッズやジャスティン・ローズを指導してきた人物です。

彼は、この悩みを一刀両断します。

「練習場の好きな打席で、フォローの風の中、平らなマットから7番アイアンを1時間打ち続ける。それでコースに出て打てないからといって『メンタルが弱い』と言うのはおかしい。あなたの脳は、そこが安全な練習場だと完全に分かっているんだ」

脳は騙せません。罰のない場所で繰り返した動作は、罰のない場所用の動作として記憶されます。

フォーリーは、こう例えています。

「それは、おもちゃの銃で訓練していた特殊部隊が、いきなりヘリコプターから実戦の戦場に放り込まれて『なんでこんなにストレスを感じるんだ!』と驚いているようなものだ」

そして彼が実際に出会った米軍の最高峰の特殊部隊員たちは、口を揃えてこう言ったそうです。

「実戦よりも、訓練のほうがはるかに過酷だ」

彼らが訓練しているのは、ヘリが2機とも墜落し、1人しか生き残っていないという最悪のシナリオです。本番より厳しい状況を、平時に繰り返す。だから本番が、相対的に楽になる。

タイガーだけが、グリーンの反対側にいた

ゴルフで、これとまったく同じ準備をしていた人がいます。

マスターズの練習グリーンで。他の選手全員が、向かい風・打ち上げの「スピンがギュッと効いて気持ちよく寄る場所」からチップショットを打って、うまく寄っては喜んでいました。

タイガー・ウッズだけが、グリーンの反対側にいました。

彼が打っていたのは、フォローの風・下り傾斜・逆目。どんなに上手く打っても、ピンから3メートル以内に止めるのがやっとという場所です。

全英オープンの前に。気温38度、湿度100%のフロリダで、彼はあえてレインウェアを着込み、汗だくになりながらトラックマンで球を打っていました。

そこで分かったのは、「レインウェアを着ると、ミドルアイアン以降でヘッドスピードが少し落ち、フェースがわずかに開く」という自分の体の反応です。彼は全英で雨が降ったときの対策を、試合前に完了させていたのです。

ホームコースで。週6日、2球ずつ打って、常に悪いほうのボールを選んでプレーする——いわゆるワーストボール。さらに「バックティーからロングアイアンだけ」「フロントティーからスコアメイク」と条件を変え、慣れ親しんだホームコースを65通りの別のコースに変えていました。

全部、自分で負荷を作り出す作業です。ISSのトレーニングマシンと、やっていることは同じです。

多くのゴルファーは、気持ちよく打てる場所で練習します。自分のエゴを満たすためです。その気持ちは、よく分かります。

マットは、あなたに嘘をついている

ぶっ飛び力学として、もう一段だけ踏み込みます。

練習場の環境が「楽」なのは、心理的な話だけではありません。物理的に、情報が返ってこないのです。

マットは滑ります。手前から入っても、ソールが滑って、そこそこ飛ぶ。ダフリの罰が返ってこない。

打席は平らです。左足上がりも、つま先下がりもない。足裏から傾斜の情報が来ない。

毎回、同じ地面です。柔らかいライも、硬いライもない。地面を読む必要がない。

このブログで繰り返し書いてきたとおり、飛距離を決めるのは、地面をどう使い、その力をどう逃がさず届けるかです。

ところが私たちは、地面を使う技術を、地面の情報が返ってこない場所で練習しています。

無重力で骨が減るのと、構造はまったく同じです。情報が返ってこない環境では、情報を読む能力は育ちません。維持すらされません。

今日からやる3つ

① 1球ごとに、番手とターゲットを変える

同じ番手を20球続けるのをやめてください。1球ごとに番手を変え、狙いを変える。いきなり上手く打てなくなります。それが、コースの正常値です。

② 月に1回でいい、芝から打つ

マットでは返ってこない情報が、芝からは全部返ってきます。マットとの飛距離差が、あなたが地面から借りていた錯覚の量です。一度、数字で見ておいてください。

③ 「気持ちよく打てる場所」から離れる

練習グリーンに行ったら、いちばん寄せにくい場所に立ってください。傾斜地、逆目、下り。上手くいきません。上手くいかないのが目的です。

まとめ

宇宙飛行士は、何も悪いことをしていません。ただ、負荷のない場所にいただけです。それで骨が減る。

だから彼らは、毎日2時間かけて、わざわざ重さを作り出しています。

あなたの練習場には、重力がありますか。

平らで、滑って、風がフォローで、失敗しても何も起きない場所で、100球。その100球は、あなたの何を鍛えていますか。

気持ちよく打てた日ほど、疑ってみてください。

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山崎壱鉱
山崎 壱鉱飛距離アップ専門コーチ
「ぶっ飛び力学」主宰。最先端のゴルフバイオメカニクスに基づき、科学的に飛距離を伸ばす方法を指導。平均飛距離+30ヤード。ドラコン日本チャンピオンや全米女子オープン出場プロをはじめ、多数のアマチュアを指導。キャリー230y→300y超。
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