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プロは、インパクトまでずっとボールから遠ざかっている

プロは、インパクトまでずっとボールから遠ざかっている

こんにちは、中上級者向け飛距離アップ専門コーチ
ぶっ飛び力学研究所の山崎壱鉱です。

建設現場のタワークレーンを、下から見上げたことがありますか。

クレーンの後ろの、あの箱

長い腕が前に伸びて、重い荷を吊り上げています。そして反対側の短い腕の先に、巨大なコンクリートの箱がぶら下がっている。

あれは何かというと、ただの重りです。カウンターウェイト。

なぜあんなものが必要なのか。答えは単純です。前に荷を出すほど、後ろに重さが要るからです。

クレーンは塔の一点で支えられています。前に重いものを出せば、そこを支点にして前へ倒れようとする。それを止める方法は、ひとつしかありません。反対側に、同じだけの重さを置くこと。

前だけを頑張って支えることは、物理的に不可能です。どれだけ頑丈に作っても、前に出した分だけ後ろに下がるものがなければ、倒れます。

前に出すには、後ろに下がるものが要る。

「すべてのグレートプレーヤーに共通する動き」

ここからが本題です。

ゴルフのキネティクス(力学)研究で、膨大なデータを蓄積してきたマイケル・ジェイコブス氏とネズビット博士に、こういう問いが向けられたことがあります。

「すべてのトッププロに共通していて、アマチュアと決定的に違う動きは何か」

答えは、驚くほどシンプルでした。

「すべてのグレートプレーヤーは、ダウンスイングの開始からインパクトに至るまで、ずっとボールから遠ざかり続けている。逆にアマチュアは、インパクトに向かってボールに近づいていく」

これだけです。

直感に反すると思います。ボールを打つのだから、近づいていくほうが自然に思える。当てにいきたいのだから、なおさらです。

でも、トップ選手は全員、逆をやっている。

クレーンと同じです。クラブヘッドという重いものを、遠心力で外へ、前へと振り出していく。その釣り合いを取るために、体は反対方向へ下がり続けなければならない。

ボールに近づいていく人は、自分で釣り合いを壊しにいっていることになります。

踵で押すと、骨盤はボールへ出る

では、なぜアマチュアは近づいてしまうのか。

原因は、地面のどこを押しているかです。

多くのアマチュアは、ダウンスイングの初期に両足の踵(ヒール)に体重が乗った状態で地面を押します。

踵側から押すと、何が起きるか。骨盤が、ボール方向へ突き出ます。いわゆるアーリーエクステンションです。

骨盤がボールへ出れば、腕の通り道がなくなります。すると手元が浮き、上体がボールに覆いかぶさる。苦しくなって、体を起こしながら合わせるしかなくなる。

一連の崩れは、全部ここから始まっています。地面を押した方向が違うから、体が行ってはいけない方向へ出ていくのです。

一方、トッププロはどうか。

母指球(足の指の付け根)側から地面を押しています。そしてダウンスイング中、骨盤をボールから遠ざかる方向へ押し戻し続けている。

押す場所が違うだけで、体が出ていく方向が正反対になります。

エンジンは、内転筋

ここが実務的に重要なところです。

骨盤を左右へ力強く移動させ、地面を踏み込んでスペースを空ける——この動きの主役は、太ももの内側にある内転筋です。

多くの人にとって、ここは眠っている筋肉です。日常生活でも、一般的な筋トレでも、あまり出番がありません。表面の大きな筋肉で体を回そうとしている限り、この動きは出てきません。

52歳で全盛期を超える飛距離を出しているパドレイグ・ハリントンも、以前は左足を後ろへ無理やり蹴り上げてスピンアウトする癖がありました。いまは、こう書き換えられています。

  • バックスイングの後半、切り返しの前の時点で、最も重い部位である体幹を左足の上へ移動させ、左足に最大の荷重をかける
  • ダウンスイングでは左足を後ろに引くのではなく、荷重が乗った左足で地面を強く踏み込み、その反作用(地面反力)によって体が後ろへ押し戻されるのを待つ

「待つ」という言葉に注目してください。

ぶっ飛び力学として、ここは絶対に外さないでください

この話には、非常に危険な誤読のしかたがあります。

「ボールから遠ざかればいいんだな」と思って、腰を後ろへ引くこと。

これをやると、間違いなく悪化します。

理由は単純で、引いた瞬間に足場がなくなるからです。自分で後ろへ逃げれば、地面を押す力は生まれません。力の出どころを捨てて、形だけを真似することになります。

正しい順番は、逆です。

遠ざかるのは、押した結果です。

左足に荷重を乗せて、母指球から地面を踏み込む。その反作用が返ってきて、勝手に体が後ろへ押し戻される。だからハリントンのステップは「押し戻されるのを待つ」という書き方になっています。

このブログで繰り返し書いてきたとおり、飛距離を決めるのは地面で作った力を、逃がさずヘッドまで届けられているかです。

スペースも同じです。作るものではなく、地面を正しく押した結果として空くもの。

順番を間違えて形だけ真似すると、空いたスペースの代わりに、力の出どころを失います。

今日からやる3つ

① 足裏のどこで押しているかを感じる

切り返しからインパクトまで、踵と母指球のどちらに圧が乗っていますか。まずはこれだけを確かめてください。踵なら、骨盤はボールへ出ています。

② 立ち上がっていないか確認する

アドレスとインパクトで、腰の高さが変わっていませんか。伸び上がっているなら、スペースが足りていません。原因は①です。

③ 内転筋を、起こす

難しいことはしなくて結構です。相撲の四股でも、内ももにボールやクッションを挟んで立つでもいい。「内ももで床を押す」という感覚が自分の中にあるかどうか。感覚がない筋肉は、スイング中にも使えません。

まとめ

クレーンが前に荷を出せるのは、後ろに重りがあるからです。前だけを頑張っても、倒れるだけです。

トップ選手が全員、インパクトまでボールから遠ざかり続けているのも、同じ理由です。クラブを外へ放り出すために、体は反対へ下がらなければならない。

そしてそれは、下がろうとして下がっているのではありません。地面を押した結果、押し戻されているだけです。

あなたはインパクトで、ボールに近づいていますか。遠ざかっていますか。

そしてそれは、押した結果ですか。それとも、逃げた結果ですか。

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山崎壱鉱
山崎 壱鉱飛距離アップ専門コーチ
「ぶっ飛び力学」主宰。最先端のゴルフバイオメカニクスに基づき、科学的に飛距離を伸ばす方法を指導。平均飛距離+30ヤード。ドラコン日本チャンピオンや全米女子オープン出場プロをはじめ、多数のアマチュアを指導。キャリー230y→300y超。
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