2.4メートルのパットは、半分外れるのが正常です

こんにちは、中上級者向け飛距離アップ専門コーチ
ぶっ飛び力学研究所の山崎壱鉱です。
朝のニュースで、降水確率30%と言っていた。
30%で降ったら、予報は外れたのか
傘を持たずに出かけた。濡れた。
「予報、外れたじゃないか」
一度は思ったことがあるはずです。でも、冷静に考えてみてください。30%というのは、同じような条件のとき、10回のうち約3回は雨が降るという意味です。
つまり、降ったら予報は仕事をしています。外れていません。
ここが、人間の思考の面白いところです。私たちは確率を聞いておきながら、結果が出た瞬間に、それを○か×かで採点しはじめる。
そして本当に大事なのは、次の点です。
予報が良いか悪いかは、1回では判定できません。30%と言った日を何十日分も集めて、そのうち実際に降った割合が3割前後かどうか——そうやって初めて検証できる。
1回の結果は、何も証明していないのです。
2.4メートルを外して、怒っていませんか
ここからが本題です。
ラウンド中、2.4メートル(8フィート)のパットを外した。舌打ちをする。
よくある光景です。でも、数字を見てください。
PGAツアーで最高クラスのパットの名手でも、2.4メートルの成功率はおよそ半分です。
世界最高の技術を持った人間が、2回に1回は外す距離。それがあなたの前にあった。
そして外れた。
それは「ミス」ではありません。半分のほうが出ただけです。降水確率30%の日に、雨が降っただけです。
にもかかわらず、多くの人はその1球を「失敗」として記録し、自分を減点します。1回では何も判定できないはずの出来事で。
「お前は自分が思うほど上手くないリスト」
ショーン・フォーリー(Sean Foley)というコーチがいます。タイガー・ウッズらを指導してきた人物です。
彼の教え子に、ハンター・メイハンというツアー選手がいました。完璧主義者でした。
あるとき、メイハンは210ヤードから打ったショットが、ピンまで約12メートルの場所に乗ったことに激怒しました。ラウンド後、2時間も練習場で自分を罰しようとした。
フォーリーは、こう言ったそうです。
「おい、210ヤードから12メートルに乗せたんだぞ。今年のタイガー・ウッズの平均よりピンに近いじゃないか!」
メイハンは、自分が達成したことの価値をまったく認識していなかったわけです。
この手のことが頻発するので、フォーリーは選手に配るための紙を作りました。距離別のツアー平均値とトップ選手のデータを並べた一覧です。名前は、こうです。
『お前は自分が思うほど上手くないリスト』
そこに書かれていることの例を挙げます。
- 210ヤードから12メートルに乗れば、ベン・ホーガンと呼んでいいレベルの大成功
- ツアー最高のパットの名手でも、2.4メートルは半分外す
- 同世代で2番目に優れた選手とされるフィル・ミケルソンでさえ、生涯の勝率はおよそ6%。100試合に出て、94回は勝てていない
フラストレーションの正体
フォーリーは、コースで苛立つ理由をこう定義しています。
「自分はこうあるべきだ」と思い込んでいる理想と、統計的な現実との、ギャップ。
ここが重要です。あなたがコースでイライラするのは、腕が悪いからではありません。
期待値が壊れているからです。
2.4メートルを外して怒る人は、「2.4メートルは入って当然」という前提を持っています。その前提が間違っているので、正常な結果が出るたびに、怒ることになる。
そして苛立ちは、次の1打を壊します。壊れた1打が、さらに苛立ちを呼ぶ。自滅のループは、ここから始まります。
技術ではなく、物差しのほうが狂っているのです。
6点のショットを、打てるようになってください
フォーリーが若手に言う言葉があります。
「10点満点中、9点の華やかなショットを打とうとするな。6点のショットでいいんだ」
統計(ストロークス・ゲインド)が明らかにしたタイガー・ウッズの強さの本質も、実はここでした。ハイライト映像に流れる奇跡のショットではなく、徹底的にグリーンの中央を狙い、ボギーを打たないことです。
ここで、ぶっ飛び力学として、ひとつ言い添えておきたいことがあります。
期待値を正しく持つと、飛距離が出ます。
逆説的に聞こえるかもしれません。でも、こういうことです。
「曲げてはいけない」「ここで完璧に打たなければ」と思っている人は、振れません。10点を狙っているから、ミスの許容幅がゼロになり、体が縮む。縮んだスイングは、地面の力を使い切れません。
6点でいいと決めた瞬間に、はじめて全力で振れるようになる。
これは根性論ではありません。自分のばらつきの幅を知っていれば、どこまで振っていいかが決まるという、ただの計算です。許容できるミスの範囲を決めていない人は、永久に全力で振れません。
飛ばせない原因が、技術ではなく物差しにあることは、想像以上に多いのです。
「ただ打ち続けただけだよ」
最後に、ゴルフの外の話をひとつ。
NBAのステフィン・カリーが、プレーオフで10本連続でシュートを外したことがあります。ところが後半、彼は大爆発しました。
試合後、記者が聞きました。「どんなメンタルトレーニングで自信を取り戻したのか」と。
カリーはキョトンとして、こう答えたそうです。
「いや、ただ打ち続けただけだよ。僕は過去14年間、毎日500本シュートを打ってきて、生涯の成功確率は50%だ。最初の10本が0本だったなら、次の10本は入る確率が高いってことだろ?」
メンタルの話を、彼は一度もしていません。確率の話しかしていない。
今日からやる3つ
① 自分の「当然」を1つ書き出す
「このくらいは入って当然」「これくらいは乗って当然」と思っている基準を、ひとつ言葉にしてください。その数字の根拠は何ですか。根拠がないなら、それがあなたを毎ラウンド怒らせている犯人です。
② 1ラウンド、グリーン中央だけを狙う
ピンを狙わない。18ホール全部、グリーンの中央。つまらないはずです。スコアを見てから、感想を言ってください。
③ 結果ではなく、回数で判定する
1球の結果で自分を採点するのをやめてください。同じ状況を10回やって何回できたかでしか、技術は判定できません。降水確率と同じです。
まとめ
降水確率30%の日に濡れても、予報士は間違っていません。あなたが、確率を約束として受け取っただけです。
ゴルフでも同じことが起きています。2.4メートルは半分外れる。210ヤードから12メートルは大成功。100試合出れば、世界最高クラスの選手でも90回以上は勝てない。
それが、このゲームの正常値です。
そしてここが面白いところなのですが、正常値を受け入れた人のほうが、結果的にスコアも飛距離も伸びます。6点でいいと決めた人だけが、思い切り振れるからです。
あなたが今日のラウンドで舌打ちしたそのショット。
本当に、怒るべき結果でしたか。
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