腰痛でゴルフ引退危機。救ったのはデータでした。
こんにちは,ぶっ飛び力学の山崎壱鉱(いっこう)です。
中上級者向けに、飛距離アップ専門のコーチとして活動しています。
「腰が痛くて、もうゴルフができないんです」
ある日、シングルプレーヤーのお客様が、 とても深刻な表情で私のもとを訪れました。
その方の悩みは、慢性的な腰痛でした。
ラウンド後に痛みが出るだけではありません。 ひどい時には、クラブを振ることさえ怖くなるほどの痛みが走る。
「このままでは、大好きなゴルフを続けられないかもしれない」 そう感じ、本気でゴルフをやめることまで考えていたそうです。
私はまず、その方のスイングを 最新の解析アプリ「Sportsbox 3D」で測定しました。
すると、痛みの原因につながっている可能性がある動きが、 はっきりと数字に表れていました。
サイドベント、47度。
サイドベントとは、インパクト付近で 上半身がどれだけ横に傾いているかを示す数値です。 簡単に言えば、インパクトでどれだけ右肩が下がり、 体が右に折れ曲がっているか。
一般的なプロの数値が25〜35度前後であることを考えると、 47度という数字は、かなり大きな傾きでした。
実際にスイングを見ると、インパクトで右肩が極端に下がり、 体幹が大きく右に折れ曲がっていました。 その強い傾きが、スイングのたびに 腰へ大きな負担をかけていた可能性がありました。
ただ、ここで大切なことがあります。
私はその方に、「これは悪い動きです」とは言いませんでした。
なぜなら、その極端な傾きは、 その方が長年かけて身につけた“生き残るための工夫”だったからです。
その方には、もともと腰の可動域に制限がありました。 さらに、ボールを飛ばすために、 かなり強いフックグリップを採用していました。
強いフックグリップのまま普通に回転すると、フェースが被りやすくなり、 左へのミス、いわゆるチーピンが出やすくなります。
そこでその方は、インパクトで右肩を大きく下げることで、 フェースが急激に被るのを抑えようとしていました。 つまり、右肩を下げる動きによって、 ボールをまっすぐ飛ばすためのバランスを取っていたのです。
そして実際に、その工夫によって、 その方はシングルプレーヤーまで上達されました。
だから私は、その動きを単純に否定したくありませんでした。 その動きには、ちゃんと意味があったからです。
ただし。
その代償として、腰には大きな負担がかかっていました。
上達のために身につけた工夫が、皮肉にも、 今度はゴルフを続けることを苦しめていたのです。
実は、私自身も過去に痛みに悩まされた経験があります。
だからこそ、ゴルフをしたいのに、痛みが怖くて振れない。 好きなゴルフを続けたいのに、 体がついてこない。
その悔しさは、痛いほどよく分かりました。
「一緒に、原因から見直していきましょう」
そうお伝えし、私たちは二人三脚でスイング改善に取り組みました。
行った修正は、大きく2つです。
1つ目は、グリップを少しだけニュートラルに近づけること。 極端に右肩を下げなくても、 フェース向きをコントロールできる状態を作るためです。
2つ目は、左サイドの使い方を変えること。 体を大きく横に折るのではなく、足圧を使いながら、 回転でエネルギーを伝えられるようにしていきました。
もちろん、簡単なことではありません。
今まで自分のゴルフを支えてくれていた動きを手放すのは、 とても勇気がいることです。
でも、その方は決断されました。
痛みを我慢しながらゴルフを続けるのではなく、 これからも長くゴルフを楽しめるスイングに変えていく。 そのために、根本から見直すことを選ばれたのです。
その結果、どうなったのか。
修正後に改めて数値を測ると、 サイドベントは47度から35度まで減少していました。
マイナス12度の改善です。
インパクトでの過度な右への傾きが抑えられ、 腰にかかる負担も大きく減っていきました。 さらに、過度なインサイドアウト軌道も改善され、 スイング全体の安定感も増していきました。
そして何より嬉しかったのは、 「ゴルフができないほどの痛み」に悩まされなくなったことです。
もちろん、体の痛みには個人差があります。 すべての腰痛がスイングだけで解決するわけではありません。 必要であれば、医療機関での確認も大切です。
ただ、この方の場合は、 スイングの中に腰へ大きな負担をかけている原因があり、 そこを見直すことで、ゴルフを続けられる状態へ近づいていきました。
腰への不安が減ったことで、 その方は以前よりも思い切ってクラブを振れるようになりました。 そして最終的には、目標にしていたクラブ競技で見事に優勝されました。
「ゴルフが、また楽しくなりました」
そう語る表情は、初めてお会いした時とはまるで別人のようでした。
実は、これは特別な話ではありません。
中上級者ほど、自分なりに ボールをまっすぐ飛ばすための“補正動作”を持っています。
・右に曲げたくないから、手を返す。 ・左に行かせたくないから、体を傾ける。 ・飛ばしたいから、腰を無理に切る。 ・つかまえたいから、グリップを深くする。
こうした工夫は、決して悪いものではありません。 むしろ、その工夫があったからこそ、 今のレベルまで上達できた可能性もあります。
しかし、その補正動作が限界を超えると、飛距離の伸び悩みや、 方向性の不安定さ、そして体への負担につながることがあります。 今回の方の場合は、それが「過度なサイドベント」として 数値に表れていたのです。
PGAツアーで活躍する選手の中にも、 腰のトラブルに悩まされる選手は少なくありません。
どれだけ身体能力が高く、どれだけ技術があるプロであっても、 体に負担の大きい動きを続ければ、痛みにつながることがあります。
つまり、 「上手いから大丈夫」 「飛ばせるから問題ない」 とは限らないのです。
むしろ、上手い人ほど、 自分の補正動作でうまく帳尻を合わせられてしまう。 だからこそ、気づいた時には、 体に大きな負担がかかっていることがあります。
もしあなたが今、腰痛や体の痛みを我慢しながらゴルフをしているなら。
それは、単に 「体が硬いから」 「年齢のせいだから」 「筋力が落ちたから」 だけではないかもしれません。
あなたがまっすぐ飛ばすために無意識に行っている工夫が、 体への負担になっている可能性があります。 そして、その工夫が限界を迎えているサインかもしれません。
だからこそ、私はスイングを“感覚”だけで見ません。
Sportsbox 3DやTrackManなどのテクノロジーを使い、 身体の動き、クラブの動き、ボールのデータを確認します。
どこでエネルギーが逃げているのか。 どこで体に負担がかかっているのか。 どの動きが、今のミスや痛みにつながっている可能性があるのか。 それを数字と映像で見える化していきます。
原因が見えれば、改善の方向性も見えてきます。
闇雲にフォームを変えるのではなく、 あなたのスイングに必要な修正だけを行う。 それが、ぶっ飛び力学の考え方です。
腰を壊してまで、ゴルフを続ける必要はありません。 痛みを我慢しながら、「まだ振れるから大丈夫」と ごまかし続ける必要もありません。
ゴルフは、本来もっと楽しいものです。
飛距離を伸ばすことも大切です。 スコアを縮めることも大切です。 でも、それ以上に大切なのは、 この先も長く、痛みへの不安なくゴルフを楽しめることです。
もし今、体の痛みやスイングへの不安を感じているなら、 一度、ご自身のスイングを数字で確認してみてください。
あなたの痛みや伸び悩みの原因は、 スイング構造の中に隠れているかもしれません。
まずは、その原因を一緒に見つけていきましょう。
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